rainman
 
Live scheduleDiscography MemberHistory DiaryPhotograph VoiceLinks
レインマンを誘ってみる
discography
rainman
jetlag songs   jetlag songs レインマン1stフルアルバム
1. 青いバス
2. 真夜中のラブ&ピース
3. 手紙の唄
4. WELCOM!MY FRIENDS!
5. 10ルピー
6. 続・終わらない風の終わらない唄
7. あの店今頃
8. 雨を見たかい
9. PARTY

価格:¥1,500(税込)
不二山命響洞 主人 レビュー
タワーレコードで購入HMVで購入

不二山命響洞 主人 レビュー

日本を出て一月ほど経った時、ベトナム中部の町ホイアンにいた。
何百年だか昔ここに渡って住んでいた日本人の墓が、その外れにある、そう聞いて、道中知り合ったばかりの友人と二人でそこへ行く事にした。
別段その墓に興味があった訳ではない。
次の街へ向かうバスがやってくる迄することが何も無かっただけだ。
二人とも泊っていた安宿にバックパックを預けて身軽にして出かける。
こちらは手ぶらだったが、彼は、ハノイで買ったギターを持っていく積もりらしい。
そのギターはあまりに小さくおもちゃの様だった。
リキシャを捕まえ、お決まりの値段交渉をした後、目的地に出発。揺れがなんとも心地よい。
このままその墓まで連れて行ってくれるものと思っていたが、とある集落で降ろされた。そこから先は地図を頼りに歩かなければならない。
しかし、集落は入り組んでおり、おまけに木々が茂っているため見通しが利かない。迷ってしまった。
熱帯の纏わり着く様な暑さが二人の口数を少なくさせる。そこに、鍬を担いだ一人の老人がこちらをじっと見ていた。
顎をしゃくって背を返しスタスタ歩き出す。 付いて来い。
どうやらそういう意味らしい。
日に灼けた肌と深い皺、鋭く遠い目、小柄な割りに広い背中。一言も発しないその寡黙さがサムライを思わせる。
何処をどう歩いたか・・・集落から抜け出た。眩しい。いきなり視界が開ける。
開けたその先には、何が---何も---無かった・・・筈は無い。が、そう感じた。
遥か彼方にに一本の線。その線の上半分を青く塗り、下半分を緑に塗れば絵としては描き終ってしまうだろう。
そんな風景のど真ん中にいた。地平線の淵まで見渡しても誰もいない。あの老人も何処かに消えている。
空と水田の間を風が渡る。静かで何も無く、そして全てがあった。その全てを友人と二人で沈黙の内に分かち合った。
こんなにも満たされた世界がある---誰かにそう伝えたくて、今ここにいる事ここで
感じている事を、一人は思い出にしたが、もう一人は唄にした。
2000年7月3日---この日が始まりだった。

その友人と別れて、旅を続けたが、縁なのか何なのか、色んな国の色んな街で幾度も顔を合わせる事になった。
「やあ、こんなところで」と握手、その町のビールで乾杯。
「じゃ、また何処かで」と握手、その町を後にする。
繰り返される握手の中で、彼の唄は幾つも紡がれていった。

旅先で彼と最後に握手をしたのは、インドのバラナシである。
以降それぞれが、それぞれの速度で、それぞれの旅をした。
彼は側にいなくなったが、彼の唄は何時も共にあった。
パキスタンのフンザで満開の杏林を歩く時、イランのイスファハンのカフェで水煙草をくゆらせている時、トルコのイスタンブールのガラクタ橋を渡る時、パリで友人の結婚式に出席した時、モロッコで赤く染まるサハラを見た時、ピラミッドを下から眺めた時、キリマンジャロの登頂に成功した時、ザンビアに向かう列車の中で、アフリカの赤い大地に沈む夕日を見た時、喜望峰で大西洋の風に吹かれた時、アマゾン川を遡る船の中でハンモックに揺られている時、ペルー人の家でクリスマスを迎えた時、チリにある世界最果ての町に立った時、イースター島でモアイとにらめっこをした時、タヒチのビーチで何もせず寝そべっていた時・・・・彼の唄が風に乗り、耳に転がって来た。
旅の途中彼が帰国したという話を聞いた。
そしてまだ唄い続けているらしい。
そう聞いて彼もまだ旅の途上にある事を知った。

今こうして日本の片隅で彼の唄を聞いてみると、色んな唄があるけれど、その言いたい所は一つだ。
------”君”が世界の何処にいても、”僕”はここにいて、”君”の事を想っているよ------

『jetlag songs』は、そんな想いと願いが込められた唄々である。

不二山命響洞 主人

homeup